プロフィール

設 立:1972年7月22日
所在地:大阪市中央区内本町2-1-19 内本町松屋ビル10 430号室
代表者:事務局長 米田 覚(よねだ さとる)

参加団体
NPO法人大阪障害者センター
大阪いずみ市民生活協同組合 (理事団体)
大阪教育大学生活協同組合
大阪商工団体連合会
大阪母親大会連絡会 (理事団体)
大阪府生活協同組合連合会 (理事団体)
大阪府保険医協会
大阪よどがわ市民生活協同組合 (理事団体)
近畿大学生活協同組合 (監事団体)
国家公務員労働組合大阪地区連合会
金剛団地自治会 (理事団体)
新日本婦人の会大阪府本部 (理事団体)
生活協同組合おおさかパルコープ (理事団体)
生活協同組合連合会大学生協事業連合関西北陸地区
全大阪公営住宅連合会
全大阪借地借家人組合連合会 (理事団体)
全大阪労働組合総連合 (理事団体)
全国大学生活協同組合連合会関西北陸ブロック
全農林労働組合大阪分会 (理事団体)
阪南大学生活協同組合
民主法律協会 監事団体
民放労連近畿地方連合会

「2050年を展望した大阪消団連運動の課題」(2023年9月9日 第31回総会決定)

 20世紀、先進諸国は科学技術の発展を基礎として、商品の大量生産-大量消費型の社会経済システムを築いた。消費生活には物質的な「豊かさ」がもたらされはしたが、利益第一・生産第一主義の企業活動は環境汚染、有害・危険商品の氾濫、不公正な商品取引を引き起こし、消費者被害を構造的な問題として顕在化させた。多くの消費者のくらしに大量消費型の生活スタイルが持ち込まれる一方で、大量生産を支える役割を担わされつつ、その「豊かさ」とは無縁の消費者も構造的に生み出された。
 また、20世紀は、商品販売市場、天然資源、植民地の獲得競争の帰結として、2度の世界大戦を含む戦争の世紀となり、核兵器の開発・使用にまでに至った。戦火の下では、消費者の権利が守られるはずもなく、消費者は死との直面を強いられた。

 だが、消費者運動はこれらの問題を、ただ座して見ている存在だった訳ではない。消費者利益に反する企業活動に抗議し、一定の拮抗力に成長した。環境や戦争の危機、貧困・格差の構造問題を学び、自らの消費行動を見直し、他分野の運動との連帯を広げ、生命とくらしと権利を守る諸制度の構築を求め、実現する過程を経てきた。

 大阪消団連は「真に消費者の立場に立った食糧行政の確立を要求する一大消費者運動を」との呼びかけを出発点に、日本の戦後高度成長の矛盾が噴出していた1972年に結成された。
 以後、大阪消団連は、消費者の権利の確立、消費者被害の防止・救済、食料自給と安全安心の確立、食と住の貧困解消、公害裁判支援、気候危機対策、ごみ減量対策、再生可能エネルギー拡大、大型間接税反対、物価・公共料金値上げ反対、核兵器禁止その他の諸課題に取り組んだ。その過程では、大阪・関西及び全国の消費者団体との協力共同と連携の力によって、大阪府消費者保護条例、大阪府公文書公開条例、大阪府食の安全安心推進条例、情報公開法、製造物責任法、消費者基本法、食品安全基本法、消費者庁・内閣府消費者委員会設置等が公的制度として結実した。

 こうした消費者運動の歩みを経て、21世紀に入った世界は、「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ-17の持続可能な開発のための目標(SDGs)」を掲げ、「気候変動枠組み条約パリ協定」、「核兵器禁止条約」等を実現させてきた。
 現在、企業活動には倫理性や社会的責任が強く求められるようになっている。だが、最大の利益の獲得という企業本来の目的の追求から逃れることはできず、グローバル化の中で、競争はむしろ拡大している。公的分野にまで市場原理を適用し、公的支出を抑え、企業の新たな利益獲得の場に変えようとする動きも続いている。企業活動への拮抗力として消費者団体の重要性は高まり、公共的な利益を代表する役割を果たすことが求められている。
 また、急速に進展するデジタル技術は消費者のぜい弱性を高める要素を持つとともに、消費、経済、社会のあり方を根底から変える可能性を持っている。バイオテクノロジーも社会に大きな影響を与えうる。科学技術を公共的な利益に資する形で活用することが一層強く求められる。

 こうした現在地にたって、「今ある危機」を見つめ、その解決に取り組み、将来世代に引き継ぐことが、2050年を展望した大阪消団連運動の課題である。
 「今ある危機」の第1は、気候危機と世界・地域での環境汚染・破壊の危機である。
 第2は、日本と世界の食料の生産・供給の不安定化の危機である。
 第3は、未知・未解明の病原菌・化学物質による生命と健康の危機である。
 第4は、消費者被害の構造的発生の危機である。
 第5は、社会的富の配分の不平等による貧困・格差の拡大の危機である。
 第6は、デジタルその他の新技術が持つリスクが現実化する危機である。
 第7は、戦争の脅威と核兵器・核利用技術による壊滅的破壊・放射能汚染の危機である。
 「今ある危機」の背景には、少数者による富の支配がある。生産と消費の矛盾を武力で一気に解決を図ろうとする無気味な動きも存在する。更に、先進国の富が、開発途上国の犠牲の上に蓄積される構造が続く限り、南北問題は深刻である。消費者運動は、生活と権利を守り発展させる要求課題への取り組みの中で、恒久平和と世界各地の消費者運動・市民運動との連帯を一貫して追求する必要がある。

 大阪消団連は、個人の尊厳と環境・社会・経済の持続可能性を「今ある危機」解決のキーワードとして、消費者の権利が尊重される社会、公正で誰も取り残さない社会、ジェンダー平等の社会をめざす。また、地震・噴火を含む巨大自然災害の被害の緩和にも取り組む。
 大阪消団連は、「今ある危機」を食いとめるストッパーとして、人間が人間らしく生き得る社会の具現者として、鮮明な役割を担うことを自覚し、未来を切り拓く消費者運動をすすめる。